最終更新日:2020/04/08
本当に国産がおすすめ?安全なキャットフードの正しい選び方を教えて!

安全なキャットフードの基準
家族の一員である猫ちゃんには、健康を損なうことのない安全なキャットフードを食べさせてあげたいですよね。
皆さんは安全なキャットフードを選ぶ時、どのようなことを基準にしていますか?
インターネットで安全なキャットフードの基準について調べてみると、次のような情報が多いようでした。
- 余計な添加物が含まれていない
- 粗悪な素材が入っていない
- 栄養バランスが良い
これらの基準に間違いはないのですが、重要なのはどうして基準になるのかを知っておくことです。
どうして粗悪な素材なのか、なぜ余計な添加物といわれているのか…その理由を知ることで、そのメーカーやブランドのどこに問題があるのかが見えてきます。
また、安全なキャットフードの基準は上記に挙げたものだけではありませんので、その点も含めて、安全の基準とその理由について確認していきましょう。
余計な添加物が含まれていない
キャットフードを選ぶ基準として最も重要なのが、安全な原材料が使用されていることです。
そこで最初に見て欲しいのが、パッケージの裏側に記載されている原材料表示になります。
まず、原材料に下記の添加物が使用されていないかチェックしてみましょう。
原料名 | 用途 |
---|---|
エトキシキン | 保存料 |
BHA | |
BHT | |
ソルビン酸カリウム | |
没食子酸プロピル | |
亜硝酸ナトリウム | 保存料・着色料 |
〇色〇号 | 着色料 |
グリシリジン | 甘味料 |
アンモニエート |
これらの添加物は、発がん性や毒性の疑いがあるといわれているものです。
この中にはペットフード安全法によって上限値が定められているものも含まれていますが、原材料表示に記載のあるものは購入を避けた方が良いでしょう。
着色料については全てに問題があるというわけではないのですが、そもそも人間ほど色を識別できない猫にとって、着色料は不要なものになります。
つまり、着色料は「飼主さんが美味しそうに見えるものなら買ってもらえるだろう」といった理由で使用されているものなので、そうしたメーカーが作ったキャットフードは猫に寄り添っているとはいえませんから、購入しない方が愛猫のためでしょう。
粗悪な素材が使われていない
粗悪な素材とは、健康を損なう疑いのある原料のことをいいます。
よく知られているものだと、次のような素材が挙げられます。
- ミートミール(肉紛)
- ミートボーンミール(肉骨粉)
- 家禽ミール
- 肉副産物
これらがなぜ粗悪な素材なのかというと、どのような肉が使用されているのか明確が基準がないからです。
日本のペットフードメーカーの多くが入会しているペットフード公正取引協議会によると、これらの原料は「新鮮な又は適正な方法により保存されてある哺乳動物・家禽類等の生肉、肉体部分、並びに上記動物の体又は体の一部から生じる全ての副生物及びその加工物」と定義されていますが、どの部位がどのくらい使われているのかを公表する義務はないようです。
もちろん、これらの素材の中には安全なものもあるかと思いますが、その真偽を確かめる術がないので、避けるべき素材として考えておいた方が良いでしょう。
なお、粗悪な素材を選ばないようにするためには、次の条件を満たしたキャットフードを選ぶこともポイントです。
- 遺伝子組み換えをしていない
- 薬品の混入・残留がない
- 放射能汚染されていない
- 病原体に汚染されていない
市販の安価なキャットフードの中には、コストを抑えるために廃棄されるような素材を使用しているものや、家畜の成長を早める薬剤を使用しているものがあります。
そうしたペットフードは世界的にも問題視されていて、2017年ではアメリカで販売されているドッグフードを食べた4匹の犬が体調不良に陥り、うち1匹が死亡するという悲しい事件も起こっています。
原因は、動物を安楽死させるために利用する薬剤『ペントバルビタールナトリウム』がドッグフードに混入していたことです。
そもそもアメリカではペットフードにペントバルビタールを使うことは違法とされているはずなので、それがどうしてまかり通ってしまったのかが疑問です。
こうした問題に直面すると、ペットフードに使用されている原材料が本当に安心なのかを消費者である私たちが見極めるのは、非常に難しいことのように思えます。
そこで、1つの指標として知っておきたいのがオーガニック認証です。
オーガニック認証とは、農薬や化学肥料を使用せずに栽培・飼養した原料を95%以上使用して作られた食品に与えられる認証のことです。
オーガニック認証を受けたキャットフードは、パッケージに下記のような有機認証マークを張り付けることが許されています。
- 有機JAS(日本)
出典:有機食品の検査認証制度:農林水産省
- USDA(アメリカ)
出典:USDAオーガニック| USDA
- COR(カナダ)
出典:有機製品への有機物ロゴの使用 – 有機性主張 – 食品 – カナダ食品検査局
- EUオーガニックロゴ(EU)
出典:有機ロゴ| 欧州委員会
市販のキャットフードよりも価格は高くなってしまいますが、その分、安全性が配慮されているので安心して与えることができます。
徹底した品質・衛生管理が行われている
キャットフードの製造工場では、品質・衛生管理のために様々な方式を取り入れています。
名称 | 概要 |
---|---|
ACS | 飼料および添加剤の取引に関する基準 |
BRC | 英国小売協会策定の食品安全規格 |
FDA | アメリカ食品医薬品局の定める品質基準 |
GMP | 製造所における製造管理、品質管理の基準 |
HACCP | 1960年代に米国で宇宙食の安全性を確保するために開発された食品の衛生管理の方式 |
IFS | 製品の製造または包装工程の汚染の危険性を監査する基準 |
SQF | オーストラリアの政府機関によって策定された基準 |
この中でもGMPとHACCPの2つは、原料の入荷から製造、最終製品の出荷に至るまでの全ての過程において、製品の安全性と品質が保たれるように定められたもので、様々な食品の製造管理に採用されています。
酸化防止に対する配慮がある
猫は1日数回に分けて食事をする習性がありますので、置き餌をされている方も多いかと思います。
そうすると問題になるのが、キャットフードの酸化です。
酸化とは、物質が空気に触れることで変化してしまう現象のことをいいます。
キャットフードの酸化が進むと、風味や栄養素が損なわれてしまい、食いつきが悪くなるといわれています。
とくに魚に含まれる不飽和脂肪酸は酸化しやすく、長期的に摂取すると変性した脂肪によって腹部に腫瘤ができる黄色脂肪症(イエローファット)を引き起こすともいわれているので、注意が必要です。
酸化に対して配慮しているキャットフードには、次のような特徴があります。
- ミックストコフェノール(ビタミンE)が配合されていること
- パッケージに密閉可能なチャックがついていること
- 空気に触れる回数を減らすために、小分けにされていること
- オイルコーディングされていないこと
オイルコーディングとは、猫の食いつきを良くするためにドライフードの粒の表面を油でコーティングする手法のことです。
市販のキャットフードの大半はオイルコーディングされているので、置き餌にはあまり向きません。
お手元のキャットフードにオイルコーディングが施されているかどうかは、袋の内部が油でベタついているかどうかで判別することができますので、この機会に確認してみましょう。
適正な栄養バランスに調整されている
栄養バランスが適正かどうかは『総合栄養食』という表示に頼ってしまいがちですが、それだけでは不十分です。
飼い猫にとって最も安全なキャットフードを選ぶには、飼い猫の体質に合ったものを考えてあげることも大切だからです。
本来は、かかりつけの獣医師の先生に相談すべきなのですが、次のようなことを考えてあげる必要があります。
- アレルギーに配慮すること
- 怪我や病気に配慮すること
- ライフステージに合ったものを選ぶこと
ここで挙げたもの以外にも、飼い猫の年齢・体質・抱えている病気によって、配慮してあげるべき項目はたくさんあるかと思います。
そのヒントは、普段の生活の中に隠れているはずなので、日々の飼い猫の様子を観察し、動物病院での定期的な健診を欠かさないようにしましょう。
安全なキャットフードの誤った基準
安全なキャットフードを選ぶ時に、インターネットの情報を利用される方は非常に多いのではないでしょうか。
しかし、インターネットで手に入る情報は明確な根拠がないものが多いので、それが本当に正しい情報なのかどうか精査することが大切です。
また、安全なキャットフードの宣伝文句として使用される「国産」や「グレインフリー(穀物不使用)」というフレーズにも、実は気づきにくい落とし穴がありますので、正しい認識を持つようにしましょう。
グレインフリー
グレインフリーといわれるキャットフードの多くは、猫が消化しにくいといわれる穀類を使用しない代わりに、肉や魚、豆類が使用されています。
ここだけを切り取ると、猫にとって消化しにくい穀類が使用されていないなら、それで問題がないように思えてしまいますよね。
しかし、グレインフリーのキャットフードには肉や魚、豆類はタンパク質が豊富に含まれていますので、腎臓が衰えてしまったシニア猫や、腎臓疾患を抱えた猫にとって高タンパク質のフードは体に大きな負担をかけてしまいます。
また、豆類は穀類よりも多くの食物繊維を含んでいますので、十分な水分を補給できていない場合は便秘の原因にもなりえます。
グレインフリーのキャットフードは、今やプレミアムフードの主流になりつつありますが、全ての猫にとっての最適なわけではないという点を肝に銘じておきましょう。
ヒューマングレード
人でも食べられる原材料を使用していることを指すヒューマングレードですが、実はヒューマングレードには明確な基準がありません。
そもそも、猫と人間では食の安全性に対する考え方が異なりますので、人間が食べられるから猫が食べても大丈夫とは限りません。
そうした理由から、今後もヒューマングレードに明確な基準ができることはないでしょう。
ただし、ヒューマングレードのキャットフードの中には本当に人間の食品に適用されるような管理基準に準拠したものもありますから、ヒューマングレードを謳うこと自体が悪いというわけではありません。
ナチュラルフード
厳選した天然素材だけを使用して、添加物を使わないフードをナチュラルフードと呼びますが、ナチュラルフードには明確な基準や認証機関はありません。
稀に総合栄養食のナチュラルフードと表記されたキャットフードを見かけることがありますが、総合栄養食には栄養バランスを整えるために栄養添加材が使用されていますので、総合栄養食のナチュラルフードというフレーズは矛盾しているように思えます。
こうした口説き文句は、飼主さんに買ってもらうことだけを考えた意味のないキャッチフレーズになりますので、騙されることがないようにご注意ください。
国産という落とし穴
人間の食品でも「国産」というフレーズに付いたものには、大きな安心感があるかと思います。
たしかに国産のキャットフードには、保存料なしでも鮮度を保てるというメリットがあります。
しかし、原産国が日本でも、原材料を生産したのも日本とは限らないという点にご注意ください。
ペットフードの原産国は、次のように表示するように農林水産省で義務付けられています。
- A国産のかつお節を輸入し、日本で削り節にしたり、ふりかけ用に粉砕→原産国はA国(下線部は、単なる切断)
- A国産のささみジャーキーを輸入し、日本で水洗・トリミング加工後に乾燥→原産国はA国(下線部は、単なる切断及び保存のための乾燥)
- A国産の生鮮ささみ肉を日本で乾燥させたささみジャーキー→原産国は日本(下線部は、実質的な変更をもたらす最後の工程)
- A国産のドライフード(粒)を輸入し、日本でフレーバーをまぶした→原産国はA国(下線部は、単なる混合)
つまり、加工前の素材を海外から仕入れて、国内で加工したものは国産といえてしまいます。
原料の生産から最終加工にかけて、全て国内で行われている完全な国産キャットフードを選ぶなら、ペットハグから発売されているねこはぐがオススメです。
ランキングサイト
インターネットで情報収集をしていると「安全なキャットフードランキング」なんてものを見かけることが多いかと思います。
ランキング形式なら目的のキャットフードが一目でわかって便利ですよね。
しかし、これらのランキングを利用する際には、その根拠がどこにあるのかを必ず確認するようにしましょう。
確認の方法には、先述した安全なキャットフードの基準を使ってみてください。
その上で、「このキャットフードがどうしてランキング1位になっているんだろう…」という疑問が湧いたサイトは、信用しない方が良いかと思います。
匿名の口コミ
特定のキャットフードを調べるときに、実際に利用した人たちの声を口コミで確認することがあるかと思います。
しかし、インターネット上にある匿名の口コミは信用しないことをオススメします。
とくに注意したいのが、次のような口コミです。
- 〇〇が改善した
- 病気が治った
- 病気が再発しなくなった
基本的に、キャットフードだけで病気や怪我の予防対策をすることはできません。
この手の口コミは見た人に買ってもらうために書かれた口コミである可能性が非常に高く、鵜呑みにしてしまうと抱えている病気や症状を悪化させてしまうこともあります。
本当に怪我や病気の改善が見られたという口コミもあるかもしれませんが、それは専門家によって科学的根拠が裏付けられた情報ではないという点にご注意ください。
猫に病気や不調がある場合には、まずは動物病院で診察を受けて、獣医師の推奨する療法食(疾病の治療の補助を目的に与えるフード)を与えるようにしましょう。
安全なキャットフードの選び方
飼い猫に安心して与えられる安全性の高いキャットフードをお求めの際は、下記の基準を参考に探してみると良いでしょう。
なお、次のキャッチフレーズには落とし穴がありますので、鵜呑みにしないようにご注意ください。