最終更新日:2019/03/07
【キャットフード用語解説】プレミアムキャットフード

プレミアムキャットフードとは
猫の室内飼育が当たり前になったことと、動物医療の進歩によって、猫の寿命は年々伸びていっていますね。
とても喜ばしいことですが、その反面、猫の高齢化や生活習慣病が心配されています。
こうした要因によって健康志向が高まる中、下記のような考えが広まるようになりました。
- 人と同じように良質な食事を与えたい
- 健康を食事から見直していきたい
- 安全で信用できるものを与えたい
いずれも共通している良質なキャットフードを与えたいという要望に応えるために生まれたのが、市販のキャットフードよりも高額で高品質なプレミアムキャットフードです。
具体的な定義はありませんが、次のような特徴を持っていることが多いです。
人でも食べられる基準をクリアした原材料を使用
プレミアムキャットフードに多い特徴の1つに「人でも食べられる基準をクリアした原材料を使用」というものがあります。
いわゆるヒューマングレードといわれるもので、人間用の衛生基準をクリアした原材料が使用されています。
全てのライフステージに対応
市販のキャットフードには「子猫用」「成猫用」「シニア猫用」などライフステージ(年齢)別に販売されているものが多いですが、プレミアムキャットフードには、給餌量を調整することで猫の年齢や活動量によって変化する摂取エネルギーの違いをコントロールできるように考慮されているものが多いです。
さらに、関節疾患や腎臓疾患を抱えやすいシニア猫に配慮して、関節軟骨の生成に関与する「グルコサミン」や、尿pH値を正常に保つためにミネラルバランスが調整されているものが多いのも特徴の1つです。
穀類を一切使用しないグレインフリー
市販のキャットフードには、「小麦」や「コーン」といった穀類が使用されているものが多いですが、プレミアムキャットフードには穀類を一切使用しないグレインフリーを採用したものが多いです。
穀類の代わりに肉や魚を贅沢に使用することで、本来、肉食動物である猫に負担をかけない食事を実現しています。
また、肉や魚を主原料にすることで、香料を使用せずに素材本来の香りが引き立つキャットフードになるともいわれています。
プレミアムキャットフードの注意点
プレミアムキャットフードと聞くと「高額だが、高品質であることが約束されている」と考えてしまうかと思います。
先述した内容を見ても分かるとおり、とにかく高品質であることをアピールしているメーカーが多いです。
しかし、そこには思わぬ落とし穴があるケースもありますので、プレミアムキャットフードを選ぶ際に注意して見ておきたいポイントについてご紹介いたします。
「高品質な食材」イコール「安全な食材」とは限らない
ヒューマングレードや無添加をアピールするプレミアムキャットフードは数多くありますが、高品質な食材を使用しているから安全とは限らないのでご注意ください。
「〇〇の広大な大地で育った〇〇を贅沢に使用」などキャッチーなフレーズだけを見て流されてしまうようなことがないように、まずは次のポイントをチェックしましょう。
- BHA・BHT・エトキシキン不使用
- 肉副産物・〇〇ミール不使用
- 品質・衛生管理(GMP・HACCPなど)
- 放射能検査をクリア
- 残留農薬検査をクリア
- その他、家畜の健康検査など
この条件さえクリアしているフードであれば、そうでないものと比べても安全といえるでしょう。
全てが「総合栄養食」とは限らない
愛猫のキャットフードには総合栄養食を選ばれる方が多いかと思いますが、プレミアムキャットフードだからといって、必ずしも総合栄養食とは限らないという点にご注意ください。
まず総合栄養食とは、「主食としてペットフードと水だけで、犬や猫の健康維持や成長に必要な栄養素を、過不足なく摂取できることが確認されたフード」のことを指します。パッケージに総合栄養食と表示するには、ペットフード公正取引協議会の定める分析試験・給与試験をクリアしている必要があります。
つまり、どれだけ上質な食材を使用していたとしても、ペットフード公正取引協議会の試験をクリアしていないキャットフードは総合栄養食とはいえないので、主食として与え続けたいという場合には、必ず「総合栄養食」の表示があることを確認することをオススメします。
なお、キャットフードの栄養基準の中には、ペットフード公正取引協議会が使用しているAAFCOのほかに、FEDIAF(欧州ペットフード工業会連合)があります。また、獣医師や栄養士によって栄養価が調整されているものもありますが、そのどれもに明確な認定や承認はないので、総合栄養食ほどの信憑性がないという点にもご注意ください。
猫の年齢や体質に合わない場合もある
プレミアムキャットフードには全ライフステージ対応のものが多いですが、猫の体質や抱えている病気によっては合わないこともあります。
例えば、「新鮮な肉・魚を〇〇%以上使用することで、驚異の消化率〇〇%を実現」と公言しているプレミアムキャットフードを見かけることが多いですが、こうした肉中心のキャットフードは高たんぱくになりますので、腎臓疾患を抱えている猫にとっては大きな負担となってしまいます。
さらに、青魚の比率が多いプレミアムキャットフードは、EPAやDHAなどの不飽和脂肪酸が多く含まれています。これらの脂肪酸は高い健康作用を持つことで知られているものですが、猫が大量に取りすぎてしまうと「黄色脂肪症(イエローファット)」を引き起こしてしまうことがありますので注意する必要があります。
グレインフリーという用語だけに騙されていけない
プレミアムキャットフードの中にはグレインフリーのものが多いということを先述しましたが、グレインフリーだからといって、必ずしも動物性由来の食材がメインとは限らないという点にご注意ください。
例えば、原材料に穀類の表示はないものの、豆類や芋類が使用されているものがあります。こうしたフードでも「肉類〇〇%以上使用」と記載されているものであれば安心なのですが、そういった記載がない場合には植物性原料の比率が高い可能性も考えられます。
まとめ
プレミアムキャットフードに関して、ここまでお伝えした内容をまとめています。
- 高品質な食材を使用しているものが多い
- 全ライフステージに対応しているものが多い
- 肉類メインとは限らない
- 必ずしも総合栄養食とは限らない
- 必ずしも安全性が高いとは限らない
結局のところ、プレミアムキャットフードに関する明確な基準がないので、その品質や安全性については、販売されているその商品について詳しく調べることでしか分からないということになります。
市販のキャットフードよりも高額なものが多いので、ご購入前には十分に調べるようにしましょう。