最終更新日:2019/02/15

猫に生肉を与えても大丈夫?生魚は?

新鮮な食材
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猫は肉食動物

犬と猫が混同されることが多いですが、肉食動物を先祖に持つ雑食動物の犬とは違って、猫は完全な肉食動物です。

猫の性質と身体のつくりを見ると、小動物を狩り、肉を食べることに適した特徴を持っていることが良く分かります。

生肉を食べるための歯の構造

猫の歯のつくり

その動物が何を食べるのに適しているのかは、歯の形を見るとすぐに分かります。

草食動物の歯は、左右後方に並ぶ平らな歯『臼歯(きゅうし)』が発達しています。これによって、主食となる草や木の実などの植物をすり潰せるようになっています。動物によっては鋭い歯を持ったものもいますが、肉食動物のように大きく鋭い歯は持っていません。

肉食動物の歯は、左右前方に並ぶ鋭い歯『犬歯(けんし)』が発達しています。これによって、狩猟した獲物の肉を割き、毛皮に守られた肉や内臓を食べることができます。肉食動物も臼歯は持っていますが、草食動物のよりも本数は少ないうえに、少し尖っているので食べ物をすり潰すことには向いていません。

猫の歯がどちらなのかは、飼主さんなら一目瞭然ですよね。そうです。肉食動物になります。草や木の実をすり潰すよりも、肉や魚などの生き物を仕留めて食べることに適した歯の構造をしているということですね。

生肉を食べるための消化器官

猫の消化器官は肉の消化に特化している

肉食動物の猫は、肉・内臓・骨を消化するための強い胃酸を持っています。

しかし、肉中心の食生活では、どうしても高脂肪・高タンパク食となり、動物が活動するためのエネルギー源となる糖質が不足してしまいます。草食動物の腸内に存在する糖質を取り入れているという説もありますが、捕食した獲物の腸内に十分な糖質が含まれているとも限りません。

そこで、エネルギー源として素早く活用できる脂肪を吸収するために、脂肪の分解を助けるビリルビンという胆汁(たんじゅう)を分泌します。また、不足しがちな糖質を補うために糖新生(とうしんせい)を起こし、タンパク質を分解することで糖質を生成します。

草食動物が植物から不足するタンパク質を生成するように、肉食動物も脂肪やタンパク質を上手く使って不足しがちな栄養素を補っているんですね。

狩猟本能を持つ生き物

猫と遊ぶときに使用する道具として、猫じゃらしってありますよね。

どうして猫が飛びついてくるのかというと、フワフワした猫じゃらしが素早く動く様子が狩猟対象だった小動物に似ているからなのです。狩猟対象に似ているから、別に食べるつもりがなくても本能的に飛びついてしまうんですね。

猫が狩猟するものといえば、ネズミや小鳥、ウサギなど自分よりも小さな生き物。飼い猫が完全室内飼育じゃない方は、これらの獲物を持ち帰ってきたという経験があるのではないでしょうか。

まだそういった経験したことがない方は、初めて獲物を持ち帰ってくるとビックリするかもしれませんが、これも猫の本能なのであまり咎めないであげてくださいね。

獲物の発見に特化した目

猫の目は暗闇でも働く

猫の目といえば、その場所の明暗によって瞳孔の大きさが変わるという特徴を持っていますよね。暗闇では大きく、明るい場所では小さくなりますが、実はこれは瞳孔の大きさを調整して、暗い場所でも獲物がちゃんと見えるように調整しているのです。

とくに猫の獲物となるネズミや鳥などの小動物は、まだ薄暗い明け方に動きやすいので、活発に動く獲物をしっかりと捉えることに役立っています。

また、草食動物の目が顔の側面についていることに対して、猫の目は正面についていますよね。これは、遠くの獲物をしっかりと捉えるためだといわれています。

結論としては『生肉』でもOK

先述したように猫は肉食動物になりますので、生肉を食べさせても問題なく消化することはできますが、いくつか注意点もあります。

鮮度が良く清潔な生肉であること

新鮮な生肉

いくら肉を食べられるからといって、鮮度の悪い腐った肉を与えてはいけません。

肉食動物の中には、ハイエナのように腐った肉を食べられるものもいますが、自分で狩りをして新鮮な肉を食べる猫には、腐った肉を食べるために必要な身体にはなっていないので、腐った肉を食べると身体に大きな負担をかけてしまいます。

とくに古く腐った肉には、食中毒の原因となる細菌が潜んでいます。そんな肉を猫に与えてしまうと、猫も人間と同じように食中毒を起こしてしまいますので、生肉を与える場合には、人でも食べられるような鮮度の高い生食用の肉を与えるようにしましょう。

生肉だけを与え続けないこと

生肉だけを与え続けないこと

猫がいくら肉食動物だからといって、生肉だけを与え続けると栄養が偏ってしまうので、あまりオススメできません。

猫が狩りをして食べるのは、肉・内臓・血などのほぼ全ての部位だからです。例えば、内臓からビタミン・ミネラル・乳酸菌などの微生物が含まれていて、血からはナトリウムを得ることができます。

肉だけを与え続けると、こうした必須栄養素が欠けてしまうことで栄養失調を引き起こしてしまいます。

しかし、キャットフードの中にも動物性素材を90%以上使用したようなものがありますよね。こうしたキャットフードがどうして栄養失調を起こさないのかというと、肉だけではなく内臓・骨が使用されていたり、栄養添加物を加えてバランスが偏らないように調整されているからです。

栄養価の高い内臓は要加熱!とくにレバーには要注意!

レバーは必ず加熱する

栄養価の高い内臓として最初に浮かぶのは、ビタミン・ミネラルを豊富に含むレバーではないでしょうか。

たしかにレバーは栄養価が高い内臓の1つですが、同時に寄生虫や細菌が住み着いている可能性も高い臓器です。人間でも2011年に食中毒が起こったことによってレバ刺しの提供が法律で禁止になりましたが、これは猫も同じです。

レバーを与える際には、必ず加熱するようにしましょう。

また、レバーには脂溶性ビタミンのビタミンAが多く含まれています。脂溶性ビタミンは体内に蓄積しやすい成分なので、過剰に取らないようにするためにも、レバーを与える量は少量にして、1度与えたら1週間ほど間隔を空けるようにしましょう。

食べられる分だけを与えること

食べきれない肉は腐敗・劣化する

生の肉は放置していても腐敗が進んでしまうので、なるべく早く食べてしまう必要があります。

猫は少しずつ食事をする生き物なので、1日分をお皿に乗せて放置したりせずに、食べきれる量を少しずつ与えるようにしましょう。

もしも生肉が余ってしまった場合は、加熱調理によって殺菌したものを与えることをオススメします。加熱後、30度程度まで覚ました状態なら、獲物の体温に近くなるので猫の食いつきも悪くないのではないでしょうか。

また、加熱した肉は生の状態よりも固いので、食べやすいサイズにほぐしてあげると良いですよ。

生肉が大丈夫なら、生魚も大丈夫?

生の魚なら生食用のお刺身を選ぶ

有名な国民的アニメの歌い出しに「お魚くわえたドラ猫~」というフレーズがあるので、猫は生魚を食べられるというイメージが強いのではないでしょうか。

しかし、生の魚の中には寄生虫がたくさんいます。魚をさばいたことがある方はよくご存じかと思いますが、半透明で糸状のアニサキスや、ヒラメの筋肉に寄生するクドア・セプテンプンクターターなど、食べてしまうことで下痢や嘔吐などを引き起こしてしまう寄生虫が当たり前のように存在します。

こうした寄生虫による被害を防ぐためにも、魚を食べる際には必ず加熱することが重要になります。

どうしても生の魚を与えてたいという場合は、こちらも生肉と同じように、人でも食べられる生食用のお刺身を与えるようにしましょう。

生肉と生魚ならどっちがいいの?

鮮度がよければ、生食用の肉や魚を食べることができますが、ここでふと考えるのは『生の肉と魚ならどっちが良いの?』という疑問です。

猫が肉食動物として生きてきた経緯を考えると、獲物として多く食べてきた生肉が良さそうな気がしますが、実際のところはどうなのでしょうか。

嗜好性(食いつき)は同じくらい

肉と魚の嗜好性は同じくらい

どちらの方が食いつきが良いのかという点を考えると、どちらもあまり変わりません。

本能的な面を考えると間違えなく肉を選ぶと思いますが、キャットフードの多くには魚が使用されていて、猫は魚の味をしっかりと覚えています。とくにウェットフードの原料には、ほとんど魚が使用されていますよね。

猫が食べ物を美味しいと感じる要素は、「におい」「大きさ」「食感」「味」の4種類。その中でもとくに重要なのは「におい」になります。肉よりも強く、独特のにおいを持つ魚は、猫にとっては味を覚えやすい食材の1つです。

本能的に食べ物だと認識している「肉」と、キャットフードによって覚えた「魚」の食いつきの良さは、形状や調理方法にも左右されますが、生の状態で与えるならほぼ同格といえるでしょう。

生肉にはL-カルニチン、生魚にはビタミンD

肉はL-カルニチン、魚にはビタミンD

次は、栄養素について比較してみましょう。

タンパク質としては、肉も魚のどちらも優れた商品です。1日あたりに必要な必須アミノ酸の含有量が高いことを指すアミノ酸スコアが100を満たしているものも多く、肉食動物の猫の食事としてベストマッチな食材といえます。

ただし、脂肪については別。肉には飽和脂肪酸、魚には不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。どちらも猫にとって必要なものになりますが、不飽和脂肪酸は黄色脂肪症を引き起こす心配もありますので、大量に与えることはできません。

脂質・タンパク質以外の栄養素に目を向けると、肉には脂肪を燃焼してエネルギーに変える工程に関与するL-カルニチンが豊富に含まれています。L-カルニチンは筋肉細胞に存在する栄養素で魚にも含まれていますが、牛肉や豚肉に含まれている量の方が圧倒的に多いです。

そして魚には、カルシウムの吸収を促進するビタミンDが豊富に含まれています。肉にもビタミンDは含まれていますが、魚に含まれている量の方が多くなっています。

生肉と生魚、結局どっちがいいの?

肉と魚、結局どっちがいいの?

嗜好性、栄養面で比較してみたものの、どちらも良さがあって選び難いですよね。

生肉・生魚を与える機会が少なく、何かのご褒美として与えるということであれば、やはり飼い猫が好きな方ではないでしょうか。頻繁に与えないということであれば、栄養成分についてはそこまで気にせずに少しだけ与えて良いでしょう。

手作りフードのトッピングとして頻繁に使用するという場合は、くれぐれも鮮度には注意するようにしましょう。それと、魚は毎日与える食事には向かないので、毎日少しずつ与えるなら生肉の方に軍配が上がります。

生肉を長期的に使用するには

手作りフードのポイント

手作り食として生肉を使用する場合には、比較的安く入手可能なブロック肉がオススメです。

購入後に冷凍保存することで、食べきれないブロック肉でも長期保存が可能になります。ただ、使うたびに解凍するのは手間がかかりますし、鮮度が落ちる原因にもなりますので、1食分ずつに切り分けた後にジップロックに入れて、真空にして冷凍するのがベストです。

とはいえ、生のままでは栄養価の高い内臓を食べることができないので、肉中心の食生活へ本格的に切り替えたいという方は、加熱調理のレシピを検討されることをオススメします。

まとめ

肉食動物の猫が食べるべき生の食事を与えたいという方は多いです。

しかし、それは厳しい野生の世界で、自ら狩猟した新鮮な肉を食べていたからこそ実現していた食事スタイルです。

人に飼育されている猫には、衛生面・栄養面が配慮されたキャットフードを与えることが安全な選択だと思います。少し高額になりますが生肉の風味や栄養素を損なわない『フリーズドライ製法』『エアドライ製法』を採用したキャットフードもありますので、そういったものを選ぶというのも、猫本来の食事スタイルに近づける1つの方法ではないでしょうか。

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